放射能・残留農薬・栄養成分・トランス脂肪酸の分析は   ISO/IEC17025:2005 認定試験所                     



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     ISO/IEC17025:2017
      認定項目:放射線測定






 放射能の単位としてよく耳にするのは、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)です。ベクレルは、放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位です。1秒間に1個の原子核が崩壊して放射線を出す能力が1ベクレルです。食品の場合は、1キログラム当たりのベクレル数(Bq/kg)が、一般的な単位です。
 シーベルトは、生体に放射線を受けたときの影響力の強さを表す単位です。1ミリシーベルトは、1シーベルトの1000分の1、1マイクロシーベルトは、1シーベルトの百万分の1を表します。
 たとえると部屋の電球の明るさがベクレル、電球の光を肌に受けた影響力がシーベルトといったイメージです。


 被爆線量と影響では、年間100ミリシーベルト以上の放射線を浴びるとがんの発生が増加することが確認されています。1000ミリシーベルト以上の被爆では生命に危機を与えます。では、年間100ミリシーベルト以下では安全なのかというとよく分かってません。低線量でも、長期的に放射線を受けることによって、DNAの損傷が起こり、がんになる場合もあるといわれています。


 原子力発電所事故の放射能汚染の対応として、食品衛生法で暫定基準値が設定されました。
 基準では、4種類の放射性物質が設定されています。この中で、今回の事故において、緊急的に対応する物質として放射性ヨウ素と放射性セシウムがあげられ、野菜類の放射性ヨウ素の暫定基準値は1キログラム当たり2000ベクレル、放射性セシウムは、500ベクレルです。
 なお、放射性セシウムについては食品衛生法で正式な基準値が決められ、平成24年4月より、施行されています。新基準では、一般食品の放射性セシウムの基準値が100Bq/kg、ミネラルウォーターや茶を含む清涼飲料水については10Bq/kgが設定されました。
 なお、行政が公表している放射線検査データは、(財)食品流通構造改善促進機構のホームページで閲覧、検索が出来ます。(http://www.ofsi.or.jp/)


 放射線には、α線β線γ線等性質の違う線種があります。α線は、紙一枚で遮ることが出来ますが、ベータ線はアルミニウムなどの金属板、γ線は、厚い鉛等でないと遮ることは出来ません。放射性物質は、種類によって放出する放射線の線種とエネルギー値が決まっています。
 測定は、放出する放射線に対応する検出器を使用します。
放射線の検出器でよく使用されているのは次の3種類があります。

1)ガイガー・ミュラー計数管
 中空の金属円筒とその中央に配した電極の間に不活性ガスを充填した構造を持つ。電極間に電圧を掛けたところに放射線が入ると不活性ガスが電離して、電極間に一瞬電流が流れる。この数をカウントすることにより放射線の量を知ることが出来る。しかし、放射線のエネルギーを知ることは出来ないので、核種(放射性同位元素)の特定は出来ない。

2)シンチレーション検出器
 シンチレーターと呼ばれる物質に放射線が当たると特定の波長の光を発する(蛍光)性質を利用した検出器。サーベイメーターなどの簡易の測定器は発光数をカウントして放射線量を計測する。発する光の強さは、放射線のエネルギーにより異なるため、スペクトロメーターという解析装置により、発光の強さを横軸に、発光回数を縦軸にとると放射線のエネルギー値ごとの放射線量を知ることが出来る。

3)ゲルマニウム半導体検出器
 電流を流れにくくした半導体に放射線が当たると、電離により電流が流れることを利用した検出器。流れる電流の強さは、放射線のエネルギー値により異なるため、スペクトロメーターにより電流の強さを横軸に、電流が流れた回数を縦軸に処理することにより放射線のエネルギー値ごとの放射線量を知ることが出来る。十分な性能を発揮するために、液体窒素等で冷却する必要があるが、非常に精度の高い測定を行うことが出来る。


 当検査センターで、食品等の放射能測定に使用している機器は遮蔽体を備えた、NaIシンチレーション検出器及びゲルマニウム半導体検出器を搭載したスペクトロメーターです。スペクトロメーターは、セシウム-134や137といった核種別に測定することが出来ます。(検査機器の項を参照) 
 遮蔽体という鉛で出来た箱(黄緑色の部分)の中で測定を行いますので、外部からの放射能の影響を極力遮断して、検査品の放射能を測定することが出来ます。測定された信号は、マルチチャンネルアナライザーという装置で処理して解析ソフトウエアにより、核種別に分析します。
 10Bq/kg以上の放射性セシウム値の測定においては、NaI検出器もゲルマニウム半導体検出器と比較して大きな遜色はありません。ゲルマニウム半導体検出器は、分解能が良いため、低濃度の放射能測定に威力を発揮します。